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大量生産・大量消費の時代以前、日本のものづくりは丁寧かつ心配りのこもった製品が多かったと思います。
時代を経て、今日、日本のものづくりを見直す機運が高まっております。
日本の傘づくりもかつては傘職人を擁し、
1本1本手づくり製造をし、あたりまえの事をあたりまえにこなしておりました。
前原光榮商店は、昔ながらの製法を受け継ぎ、熟練の傘職人による加工にて製造を続けております。
わたしたちは、「傘」という字に含まれる4つの「人」は、それぞれ
1.生地を織る 2.骨を組む 3.手元を作る 4.生地を裁断縫製する
の4分野の職人たちを表していると提唱しています。
このそれぞれの職人たちの技術を高める事により、前原光榮商店の傘はなりたっております。
特に生地の裁断縫製に関しては、傘の出来栄えを左右する最も重要な技術のひとつです。
高品質の生地・骨・手元を擁しても、傘の裁断縫製次第では美しいフォルムの傘に仕上りません。
それは生地を裁つ際の型であり、正確さであり、縫製する際の針の落とし方さえも気を使います。
そこに数ミリの誤差が生じるだけで、傘を広げた時の張りや音、フォルムに影響があるからです。
前原光榮商店の傘は、それぞれの素材の品質はもとより、この裁断縫製加工にこだわりを持って製造しております。
経糸(たていと)を一本一本織機に手作業でセットしたあと織っていきます。
その昔、甲斐織物の産地であった山梨県の富士山麓にある、
伝統的な機(はた)によりゆっくりと丹念に織られます。
角材を少しずつステッキのような形状に削り熱を加えて少しずつ真っ直ぐに
仕上げます。その後、磨き上げた中棒に「はじき」を手作業で埋め込み、
骨を組んでいくのです。
いろいろな木によって様々な方法で「曲げ」を行います。
火を使って熱を加えるものや熱湯につけてやわらかくするものなどがあります。曲げられた素材には主に天然の染
料を数回にわけて何度も繰り返し塗ってきれいなツヤを出します。この手間を掛けた「塗り」が使えば使うほどに
ツヤを出す深みのある手元を生み出すのです。
織りあがった生地と組み終えた骨は、「加工職人」に引き継がれます。
生地は傘に成るべく裁断・縫製し、骨組みに張っていきます。
大量生産品では、生地の裁断時、8枚・10枚・それ以上・・と
重ねて裁断し効率を上げていますが、前原光榮商店のほとんどの加工は
2枚重ねで裁断し裁断時の精度を上げています。
加工職人は、自ら調整し創った三角形状の「木型」を生地にあて断ち包丁で断っていきます。この作業が完成時の
商品の良し悪しを大きく左右します。